園だよりから【9月】『難しいことをやさしく やさしいことを深く 深いことをゆかいに』し、成長を実感できる二学期に

    『難しいことをやさしく やさしいことを深く 

  深いことをゆかいに』し、成長を実感できる二学期に

                      園長 橋 本 光 生

 コロナ禍への心配が収まらない中を、ようやく長い梅雨が終わっても、

その後は今年も暑い暑い毎日でした。それでも大きな病気やけがもなく

皆が今日を迎えられ、心より感謝しています。

 さて、標題の『難しいことをやさしく やさしいことを深く 深いことをゆかいに』は、

人形劇「ひょっこりひょうたん島」の原作者であり、「ムーミン」や「忍者ハットリくん」

などの作詞も手がけ、数々の戯曲や小説も残した故井上ひさし氏の言葉です。

「難しく書いたり話したりしてはプロではない。平易な中にも奥深く、

楽しく可笑しく表現するのが作家の力量」とばかりに、氏の気骨がうかがえる言葉です。

折しも、先行きを見通せず何もかも不確定な今、

「こんな時こそ難しく考え込まずに単純明快に。さらにユーモアも失うまい」

という気持ちにさせる言葉です。さらには、「やさしく」を「易しく」でなく、

「優しく」子供に接する。「深い」は、子供を深く慈しむ。「ゆかい」は、

子供を楽しくさせると読み替えると、こんな当たり前のことが私たちの本分であると、

改めて気づかせてくれます。

 因みに井上氏が作家になる前に療養所に勤めていた時、そこの所長から

「二人の患者がいて、一人はボロボロの身なりで子どもを抱いている母親らしき女性。

もう一人は見るからに金持ちで威張った男性。君はどちらを先に医者へ案内しますか」

と問われたそうです。氏は、迷うことなく「貧しい女性です」と答えたのですが、

返ってきた答えは「病気の重い方だよ」でした。見た目で決めるのではなく、

病状という本質をとらえることの大切さを教えるエピソードです。

 一学期は、春の遠足をはじめ納涼会やプール遊びなど、多くの楽しみを逃した

子供たちでした。二学期は、ぜひ運動会も秋の遠足も実現したい。そのために、

できる限りの可能性を模索したい。これが職員の一致した願いです。それでも

混沌とした状況ですので、ギリギリになるまで明確な方針や計画を示せないでいます。

だからこそ、大切なことは何かを見極めながら基本を大事にし、また様々な情報(声)に

惑わされることもなく、子供が幼稚園生活を快活に過ごす手立てを追求してまいります。

その先に、必ずや子供が自身の成長を実感する二学期があるからです。