園だよりから【6月】梅雨時雑感
梅 雨 時 雑 感
園長 橋本光生
雨に洗われるごとに緑の葉が透明感を増して、園舎周りの木々も
一年のうちで最も瑞々しさを感じるようになりました。
そんな中、本園のシンボルである大ケヤキは、
ますますどっしりと根を張り、
大きく伸ばした枝で子供たちを包み込んでいます。
その枝振りはと言うと、なるほど相田みつを氏の詩
『枝は幹に支えられ 幹は根こに支えられ』
の通り、各々が一番具合のいい所で収まり、
共に支え合っているなと、
まるで大見したような気分で見上げていました。
たわいないことと思いつつ妙に感心していると、
次は「このケヤキを子供に見立てるならば、
枝や幹などは、子供が成長する上では、何に相当するか」
とまで、考えるようにもなりました。
さて、連休後に期待を込めて蒔いたアサガオと作付けしたサツマイモが、
公園デビューならぬ農園デビューをして半月。
どちらもこの頃の雨で生き生きとし、
子供たちはその雨の日でも水をやらんばかりの可愛がりようです。
土曜参観の折には、これらアサガオとサツマイモも、
ぜひご覧いただきたいと願っています。
ところで、そのアサガオなどに注ぐ子供の眼差しは、
虫と語り、風と戯れ、生きとし生けるものすべてを友にして過ごす、
宮崎 駿監督の長編アニメーション『風の谷のナウシカ』に見る時間の過ごし方です。
このアニメの中でナウシカは、どんなに異様な形をした植物も、
「良質の土(*物語では水耕栽培)」に「きれいな水」をもって育てれば、
必ず可憐な花を咲かせ、“有毒ガス”も出さないことを学びます。
幼稚園で言えば、「良質の土」は「園児同士が育ち合う環境」であり、
「きれいな水」は「優れた保育」となります。
その「優れた保育」の一つに「遊びと体験」がありますが、
その「遊びや体験」により子供たちは、
「友だちとの関わり方」や「言葉による表現の仕方」など、
必要な力を身に付けていきます。
そうです。
この「遊びと体験」こそ、きっと冒頭で自問した
「子供が大樹に育つための、枝や幹、根である」
に違いありません。