園だよりから【12月】ものつくりへの集中は、生み出すもの

ものつくりへの集中は、生み出すもの

 ―絵画制作展を明日、明後日に控えて―

                          園長 橋 本 光 生

師走を迎えると、どこかしら気ぜわしくなる毎日ですが、子供たちはどこ吹く風。

今日も夢中になって園庭を駆け回り、アスレチックでは学年を超えてにぎやかに遊んでいます。

ところで、テレビ等の囲碁講座でおなじみの石倉九段は、

囲碁の上達には「五つのK」が必要だと話していました。

一つ目の「K」は「感動のK」で、

「なるほど。そうだったのか」と心を震わせたときに、

囲碁は強くなると言うのです。

次に「好奇心のK」。

こういうふうにやってみよう、

これを試してみようというのが「好奇心」だそうです。

三つ目は「形のK」で、

いい碁をたくさん見て美しい形を知ること。

四つ目が「考え方のK」で、

一つのやり方に固執せず、

多くの対局例から柔軟に学ぶ「考え方」が大切だと言います。

最後に「繰り返しのK」を強調していました。

この「繰り返し」こそが、上達の一番の秘訣だそうです。

明日、明後日の絵画制作展では、

実は子供たちもたくさんの「K」を重ねながら、

作品を完成させてきました。

まずは「感動」があって作る興味と意欲が湧き、

もっとやりたい、つくりたいという「好奇心」が作業をはかどらせ、

先生のお手本や他の子の作品を参考にして自分の作品の「形」を整えました。

さらには、こうしよう、ああしようと「考え方」を巡らせ、

試行錯誤を「繰り返し」ながら、

自分が思う作品へと一歩ずつ近づいていったのです。

加えて共同作品では、

決まった素材だけでなくゴミになってしまうような牛乳パックやラップの芯などが目ざす作品に変わっていく様は、

おもしろくて仕方なかったに違いありません。

まさに、ものつくりへの集中は「させるもの」ではなく、

「生み出すもの」だと実感しました。

きっと今宵は、

どの子もお家の人に「明日は制作展だよ。ぜったい見にきてね」と目を輝かせながら話し、

会場でも「見て見て! これ描いたの」「私のは、これ」と誇らし気に教えることでしょう。

ご家族の皆様には、全学年の作品を鑑賞する中で、

年少から年中へ、年中から年長へと進級するにしたがい

一段と高まる表現の広がりにぜひ触れていただき、

わが子の、これからの成長にますます期待されることを願っています。