園だよりから【5月】よく学び、よく遊べ。そして、心も体も頭も健やかに!
よく学び、よく遊べ。そして、心も体も頭も健やかに!
園長 橋 本 光 生
若葉の緑が日増しに濃さを増してきました。
そして今日も園庭では、公園デビューならぬ園庭デビューした年少の子たちが加わり、
多くの子が鬼ごっこをしたり、ボール遊びに興じたりしています。
ところで、標題の「よく学び、よく遊べ」は、最近でこそ耳にしなくなりましたが、
私が小・中学生の頃には、決まって教室の黒板の上に掲示してありました。
これを見るたびに当時の私は、「勉強も遊びも、どっちも大事なのだ」と合点する一方で、
「でも、遊び時間の方がずっと短いじゃないか」と、いつも不満だったことを覚えています。
ちなみに、『氷点』が代表作の作家・三浦綾子さんの昭和の初め頃の国民学校を舞台にした小説の中に、
担任の先生が子供たちに、「遊び」の大切さを語るくだりがあります。
『勉強時間には、みんなは そうそう喧嘩はしないよな。だけど、遊び時間には時々喧嘩をする。
そして、ああ、自分が悪かったなあとか、あんちくしょう、絶対許さんぞなんて思ったりする。
仲が悪くなったりもする。すると、仲が悪いことがどんなに淋しいことか、わかるようになる。
こうして、段々君たちの心が優しくなったり、強くなったりして大きくなる』と。
子供の成長には、かつての国民学校の子でも現在の幼稚園児でも、
その時代や社会に必要な知識や技能、心の豊かさなどが欠かせません。
この中で、心の豊かさとは思いやりや愛情、困難に立ち向かう勇気や謙譲の心、礼節などのことです。
これらが豊かであって初めて、身につけた知識や技能も正しく生かされていくのです。
さらには、「よく学ぶ、よく遊ぶ」の中の“よく”を通して、その質が高められていくのです。
自由遊びの時間の終わりを告げる担任の声に、さっと遊びを止めて保育室に戻る年長組の子はさすがですし、
登園バスを降りて、上の子が下の子の手を引く姿も微笑ましく感じます。
また、そのバスの子たちの中で、初めはおとなしかった下の子が、
次第に慣れていたずらっ気を起こすと、上の子がたしなめる。
そうして、ますます仲良くなっていく様は、
まさしく「よく学び、よく遊ぶ」中で培われたもので、本園の誇るべき自慢の一つです。