園だよりから【10月】友達と一緒につかむ”楽しみ”は、本物の”楽しみ”

友達と一緒につかむ“楽しみ”は、本物の“楽しみ”

-「益者三楽(えきしゃさんごう えきしゃさんらく)」の教えから-

                      園長 橋 本 光 生

コロナ禍がもたらす影響で、私たちの暮らしはどうなっていくのか。

また、アフターコロナやウィズコロナがどんな世界なのか、

未だに思い描けないでいますが、私たちを新しい生活様式に向かわせたことは確かです。

そして、このことは、これまでと同じでないこととして、新たなチャンスが訪れていると

言ってよいのかもしれません。

そんな中、これからもずっと変わらないものがあります。

それは、副題に記す論語の一節である『益者三楽』で、

「自分の為になる“楽しみ”には三つある」と言う孔子の教えです。

すなわち「礼法と音楽を楽しむ」、「相手のよいところを褒める」、

「優れた友と交わる」ことで得る“楽しみ”が、真に自分の為になると言うのです。

「礼法と音楽」は、実際は「礼儀と雅楽」を指すようですが、

まるで保育室で楽しく歌ったり踊ったりする子供たちの姿が思い浮かびます。

また、二つ目の楽しみも三つ目の楽しみも、友達同士が認め合い、高め合い、

育ち合う、幼稚園の生活そのものと言えるでしょう。

ところで、今週末に迫った運動会では、これまでのやり方から離れて様々な可能性を探った結果、

「子供の伸ばしたい所や見ていただきたい姿」が、改めて浮き彫りになりました。

そして、例年よりも少ない練習時間が子供たちの集中力を生み、機敏な行動につながりました。

さらには規模こそ小さくても、子供同士が一緒に活動することで得る楽しげな様は、

まさに本物の“楽しみ”なのだと、子供の姿が教えています。

こうしたことに気づかせてくれたのは、皮肉にもコロナ禍のおかげかもしれません。

運動会当日は、そうした子供たちの成長ぶりを、ぜひご堪能ください。

ちなみに『益者三楽』に相対するのは、欲求のままに振舞ったり、やるべきことを

やらなかったりする『損者三楽』です。

これについては、別の機会で述べられたらよいと思います。